株式会社間島宣伝事務所

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「これが欲しい」の「これ」を知れ

みなさんこんにちは。横浜出身研修生の「シウマイ」です。

今回のテーマはマーケティングの出発点ともいえる「STP分析」です。

マーケティングの基本は顧客目線であり、顧客の「これが欲しい」を拾い上げて、売れる商品を企画することが目的です。
しかしながら、世の人々は何を欲しがっているのか、どのような製品であれば選ばれるのかを具体的に知るためには、マーケティングの視点に基づいた調査が必要です。
そこで、市場における顧客のニーズを分析するために「STP分析」を行います。

STP分析のイメージ

STP分析を行うことで得られる利点は主に2つあります。

1つ目は、市場における顧客やニーズを整理できることです。
顧客層を把握することによって自社の製品に合致した市場を発見し、どのような人々に製品をアピールするべきかを明確にすることができます。
そして2つ目は、自社製品の特徴や顧客へのアピールポイントなどの強みが分かることです。
自社と他社の製品の価格や機能などの特徴を比較することで、他社との差別化ポイントを把握できます。これによって他社との競合を回避しつつ競争で勝ち残れる市場を選択しやすくなります。

このような情報を得ることはマーケティングの方向性を定めることであり、今後の戦略を展開するために必要不可欠なものであると言えます。

ではこれらの分析では具体的にどのようなことを行うのかを順に見ていきましょう。
STP分析はその名前の通り「S,T,P」の3項目から成り立っています。

Segmentation(セグメンテーション)

Segmentとは分割や断片を意味する言葉であり、セグメンテーションは市場を細分化することで、その構造を把握することを指します。
つまりは顧客の属性を細分化する作業であり、どの視点で、どのくらい厳密に細分化するのかが大事な観点となります。

細分化する項目としては、年齢、趣味、地域、経験など挙げればきりがないほど多種多様です。
セグメンテーションをどの視点で行うかによって、その後につながるマーケティングの戦略が変わりますので、目的をもって慎重に行います。

3D illustration of many pawns segmented in different categories over black background. concept of customer segmentation.

Targeting(ターゲティング)

セグメンテーションによって細分化された市場の中から、自社のターゲットとなる市場を選ぶことです。製品やサービスのターゲットとなる市場を選ぶことができなければ、販売の戦略を立てることは難しく、顧客のニーズを満たすことができません。

もちろん、全ての顧客に対応することは現実的ではありませんから、
ここでは自社の製品の強みを活かすことができる市場、あるいは自社のブランドイメージやコンセプトに合っている市場を選択するのが一般的です。

また市場規模に加えて、競合他社の状況や環境要因による障壁についても考慮する必要があります。

Positioning(ポジショニング)

ターゲティングによって決めた市場に対して、自社の立ち位置を決めることです。
「立ち位置を決める」とは自社がどのような価値を提供できるかを確認することになります。

ここで重要なことは競合との差別化です。
市場の競合他社の品質や価格などの調査を行った上で自社の製品と比較し、どこに優位性があるかを明確にします。
同様の商品やサービスだとしても、全てが同じということはありませんから、どの部分に注目して差別化し、自社の強みとしてアピールしていくかが重要です。

一般的に、ポジショニングでは、ポジショニングマップと呼ばれる、2軸のマトリクス図を利用します。
そして、マップには競合と比較する軸を設定し、自社と競合他社とを当てはめることで、自社の立ち位置が分析しやすくなります。
比較するものとしては値段、品質、店舗数、などが挙げられます。

ポジショニングにおける注意点としては、「必ず根拠のあるデータに基づいて分析する」ことです。
使用するものとしては国が出している調査結果や、対象となる母集団が明らかなアンケートなど、偏りが少なくデータとして信用できるものでなければなりません。
根拠のあるデータを用意せず感覚で分析を行ってしまえば、信頼できるSTP分析とは言えなくなってしまいます。

また、「多くの指標を同時に比較しない」ことにも気を付けなければなりません。
分析にこだわるあまり一度に多くの指標を比較しようとすると項目が増えて複雑になり、最も考慮すべき内容を見落としてしまうおそれがあります。

3つの項目の細かい内容については、別途詳しく解説していきます。

一般的に、STP分析を行う際はセグメンテーションから進めます。
しかしながらSTP分析の3つの項目はそれぞれ連動しているため、どの項目から分析を始めても結果に大きな違いは生まれません。
ですから、進行に困難を感じた場合は他の項目から進めることもできます。

もちろん、分析をして終わりではありません。STP分析はあくまでマーケティングの出発点ですから、実際に製品を開発して顧客に認知してもらうためには更に多くのプロセスを経る必要があります。

STP分析はターゲットを絞り込み、自社の立ち位置を確認するためのものです。
また、STP分析により自社製品にとって最適なポジションを発見できたとしても、市場が極端に小さいケースや将来的に先細りする可能性が高いケースなどでは、マーケティング戦略の展開方法を変更しなければなりません。

こうしたことを防ぐためにも、STP分析で満足せず、導き出した市場が本当に適切かどうか「市場の大きさや成長率に問題はないか」という観点を中心に、別の角度からの調査することが望ましいです。