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シドニーのレポート

2025年1月に渡航してきたオーストラリアシドニーで学び知ったレポートを少しまとめました。
現地でお世話になりました日本貿易振興機構様、日本政府観光局様、日本旅行オーストラリア様、
そして現地でお知り合いになった日本の皆さん、ありがとうございます。

人権、環境、平等

他国で何かチャレンジする際には、その国の歴史や文化を理解することが重要です。オーストラリアのジェトロ(日本貿易振興機構)でお聞きした大切な理念が「人権」「環境」「平等」であり、これらが社会やビジネスの根幹に深く根付いていることを実感しました。

オーストラリアは多文化国家であり、先住民アボリジニの文化や歴史を尊重しつつ、移民を受け入れ、多様性を重視する社会を築いています。しかし、その過程で植民地時代の人権侵害や同化政策の歴史があり、現在も和解と平等の実現に向けた取り組みが続いています。また、環境問題への意識も高く、気候変動対策や再生可能エネルギーの推進が国の重要政策となっています。

こうした理念はビジネスの場でも重視され、持続可能な開発目標(SDGs)を意識した企業活動が求められます。オーストラリアでの経験を通じて、これらの価値観を理解し尊重することが、異文化での成功につながると強く感じました。

オーストラリアの経済構造とサービス・IT産業の発展

オーストラリアは、豊富な天然資源を有する国として知られています。鉱業や農業が経済の基盤となり、鉄鉱石や石炭、天然ガスなどの資源輸出が国の成長を支えてきました。
しかし、近年ではサービス業やIT産業が急速に発展しており、これがオーストラリア経済の新たな活路となっています。

サービス業が発展した理由の一つは、人口の大半が都市部に集中し、観光業や教育、医療、金融などの需要が高いことです。特に観光業は、壮大な自然や多文化都市を背景に世界中から多くの観光客を引き寄せており、大きな雇用を生んでいます。(GDPの73%をサービス産業が占める)
また、大学教育の質の高さもあり、海外からの留学生が増加し、教育産業も成長を遂げています。

IT産業の発展には、政府のデジタル化推進政策やスタートアップ支援が大きく影響しています。
特にシドニーやメルボルンでは、フィンテックやAI、クラウド技術を活用した企業が次々と誕生し、国際競争力を高めています。
例えば、Wi-Fi技術はオーストラリアの政府研究機関CSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)が開発したもので、現代のインターネット通信の基盤となりました。
また、Googleマップの基礎技術は、シドニーを拠点とするオーストラリアのエンジニアチームが開発し、現在もGoogleの主要な技術拠点の一つとして機能しています。

このように、資源に依存するだけでなく、持続可能な産業を育成することで、オーストラリアは長期的な経済成長を目指しています。

クリーンエネルギーとグリーンフィンテック

オーストラリアは豊富な天然資源を活用しながらも、近年はクリーンエネルギーへの転換に力を入れています。特に水素の生産は政府の重点政策の一つであり、太陽光や風力発電を活用したグリーン水素の生産拠点としての地位を確立しつつあります。
カーボンニュートラルを目指す世界的な潮流の中で、オーストラリアは日本や韓国などのアジア諸国への水素輸出を視野に入れ、国際的なエネルギー協力を強化しています。
これにより、持続可能な成長と新たな雇用創出を推進しています。

また、オーストラリアは金融・IT分野の成長が著しく、特に環境意識の高まりを背景にグリーンフィンテックが急速に発展しています。
グリーンフィンテックとは、環境問題に配慮した金融技術のことで、カーボンフットプリントの可視化、環境配慮型投資(ESG投資)、ブロックチェーンを活用した再生可能エネルギー取引などが含まれます。
オーストラリアのフィンテック企業は、AIを活用したサステナブル投資プラットフォームや、グリーンボンド(環境プロジェクト向け債券)に特化した金融サービスを提供し、環境配慮型経済の推進に貢献しています。

経済成長と物価高、インフレの懸念

オーストラリアは、1991/92年度から28年連続で経済成長を遂げ、2022年の実質GDP成長率も3.7%と堅調な成長を続けています。
特に、金融や公益事業、消費関連などの内需関連セクターが経済の主役となっており、サービス業がGDPの73%以上を占めています。
しかし、近年は生活費の高騰やインフレの懸念が高まっています。2023年第3四半期の賃金指数は前年同期比4.0%上昇し、26年ぶりの高水準を記録しました。
これに伴い、労働者の間で賃上げを求める動きが活発化しています。例えば、シドニー空港では地上職員が賃上げや勤務条件の改善を求めてストライキを実施し、最大100便に影響が及びました。
また、カンタス航空の航空整備士らも賃金の大幅な引き上げを求め、年末年始のストライキを警告しています。
これらの労働争議は、生活費の上昇に対する労働者の不満を反映しており、賃金上昇がさらなるインフレ圧力となる可能性があります。
オーストラリア政府と企業は、経済成長を維持しつつ、物価上昇とインフレのバランスを取るための適切な政策対応が求められていると感じました。

友好な日豪関係

日本とオーストラリアの関係は、経済・安全保障・文化の各分野で緊密な協力を築いてきました。
特に、経済面では日本がオーストラリアの主要貿易相手国の一つであり、エネルギー資源や農産物の輸入を通じて相互依存の関係を強めています。
オーストラリアは日本にとって安定したLNG(液化天然ガス)や鉄鉱石の供給国であり、日本企業も現地でエネルギー開発やインフラ事業に積極的に参画しています。

安全保障面でも、日豪両国は自由で開かれたインド太平洋の実現を共通の目標とし、防衛協力を強化しています。
2022年には新たな安全保障協定が締結され、自衛隊とオーストラリア軍の相互運用性が向上しました。
この協力は地域の安定に寄与するとともに、日豪のパートナーシップをさらに強固なものにしています。

文化交流も活発で、教育・観光分野での相互交流が進んでいます。オーストラリアには多くの日本人留学生が学び、日本語教育も広く行われています。
また、観光地としても両国間の訪問者が増加しており、人と人とのつながりが深まっています。(現在年間で90万人の方が日本へ観光にきています)

このように、日豪関係は多方面で発展を遂げ、相互の信頼と共通の価値観を基盤に、今後もさらに強化されていくでしょう。

オーストラリアで学ぶ尊重の文化

オーストラリアを訪れると、人々が互いに尊重し合う文化が根付いていることを実感します。
オーストラリア社会では、「Showing Respect(敬意を示すこと)」が非常に重要視されており、これは日常生活や職場、教育の場面においても明確に表れているようです。

特に、多文化社会であるオーストラリアでは、異なる文化や価値観を持つ人々が共存しているため、相手の意見を尊重し、互いの違いを認め合うことが求められます。
先住民アボリジニの文化に対する理解や、性別・宗教・LGBTQ+への配慮も、社会全体で大切にされています。例えば、公式の場ではアボリジニの土地に敬意を表する「Welcome to Country」の儀式が行われることが一般的です。

また、子どものうちから「Respect(尊重)」の精神を学ぶことが推奨されており、学校教育では個々の人格を尊重し、他者と公平に接することが教えられます。
家庭でも、子供であっても一人の人格を持つ存在として扱われ、意見を尊重する姿勢が見られます。大人に対しても年齢や立場に関係なくフレンドリーに接しながら、敬意をもってコミュニケーションを取るのが特徴です。

オーストラリアで「Showing Respect」は単なるマナーではなく、社会をより良くするための根本的な価値観となっています。
異文化を尊重し、個々の人格を大切にするこの考え方は、世界中どこにいても大切にすべきものだと感じました。

まとめ

今回は当社も含め上田に多くの接点をつくりたくさまざまな異業の方も一緒に渡航してきました。
その国の情勢や訴求ポイントを理解すれば、多くのビジネスチャンスはあります。
上田市で事業を行う当社の思いは、もっと上田も外貨を稼ぐアクションをしてもいいと思います。
スケールのある事業でなく小さな規模の事業でもチャンスはいろいろつかめるはずです。
さまざまな事業主が今よりプラスワンのアクションを起こすことで上田をもっと盛り上げていきたいですね。
次に一緒にオーストラリアへ渡航した事業主の方がいましたらお気軽お声をおかけください。