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生成AI時代の「C2PA」とは?
近年、画像や動画、音声、テキストなどのコンテンツを生成AIで簡単に作れるようになった一方で、「これは本物か?偽物か?」という疑念も増しています。そうした中で注目を集めているのが、「C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)」という国際的な枠組みです。
C2PAは、コンテンツの出所(プロヴナンス)や加工履歴を明示するための技術仕様であり、誰が・いつ・どのように制作・編集したかといった情報をメタデータとして記録・共有することを可能にします。AdobeやMicrosoft、Intelなどの大手企業が連携して策定したこの仕組みにより、デジタルコンテンツに“信頼の証”を持たせることができます。
たとえば、生成AIで作成した画像に「このコンテンツはAIで生成されました」「作成者は〇〇」「編集は△△」といった情報を埋め込むことで、受け手がその信ぴょう性を判断しやすくなります。これはフェイクニュースやディープフェイクの拡散を防ぐための重要な対抗策としても期待されています。
C2PAの導入による利点は以下の通りです
- コンテンツの真正性と透明性の向上
- クリエイターの権利保護と正当な評価
- 虚偽情報の抑制効果
- 報道機関や企業の信頼構築に寄与
ただし、C2PAにも課題はあります。たとえば、メタデータは技術的に削除可能であり、完全な改ざん防止とは言えません。また、仕様が公開されているため、偽のC2PA情報を埋め込むような不正利用も理論上はあり得ます。そのため、C2PAは万能のセキュリティ手段ではなく、「信頼性を支える補助的な技術」として活用することが現実的です。
生成AIが社会に深く浸透する今、C2PAのような“デジタル証明”は、情報の受け手と送り手の双方にとって不可欠な要素となりつつあります。
とくにクリエイターにとっては、作品の中でAIを使用した場合にはその旨を明示し、誰が何をどう作ったかを開示することで、受け手の判断を尊重し、誤解や不信感を防ぐことができます。
