mashima
今の自分をつくったルーツを忘れない
仕事を続けていると、いつの間にか「今の自分は、自分の努力でここまで来た」と思ってしまうことがあります。
もちろん、自分なりに努力もしてきた。悔しい思いもしたし、眠れない夜もあった。うまくいかない中で、それでも踏ん張ってきた時間もある。
しかし、よく考えてみると、今の自分は自分ひとりの力だけでつくられたものではありません。
あの時、厳しい環境で働いたこと。
あの人の下で、理不尽に思いながらも必死に仕事を覚えたこと。
初めて仕事を発注してくれたお客様がいたこと。
まだ実績も自信もない自分に、任せてくれた仕事があったこと。
失敗しても、次の機会をくれた人がいたこと。
そうした一つひとつが、今の自分のルーツになっているのだと思います。

つらかった経験も、今につながっている
振り返ると、当時は本当につらかったと思うことがあります。
なぜそこまで言われなければいけないのか。
なぜこんなに苦しい思いをしなければいけないのか。
自分には向いていないのではないか。
そんなふうに思いながら働いた時期も、後になってみると大切な土台になっていることがあります。
厳しい人の下で働いたから、仕事に対する基準が上がった。
細かい指摘を受け続けたから、確認する癖がついた。
失敗して迷惑をかけたから、段取りの大切さを覚えた。
悔しい思いをしたから、次はもっと良くしようと思えた。
その時は嫌だったことも、今の自分の考え方や仕事の姿勢をつくっていることがあります。
もちろん、つらい経験をすべて美化する必要はありません。
苦しかったものは苦しかったでいい。ただ、その経験の中に、自分を育ててくれたものがあるなら、それは忘れずに持っていたいと思います。
初めて任せてくれた人がいた
仕事において、最初の一歩を与えてくれた人の存在はとても大きいものです。
まだ何者でもない自分に、仕事を任せてくれた人。
実績が少ない中で、信じて発注してくれたクライアント。
不安もあったはずなのに、「お願いしてみよう」と言ってくれた人。
その一つの仕事があったから、次の仕事につながった。
その一つの経験があったから、自信が生まれた。
その一つの信頼があったから、自分の仕事として歩き出すことができた。
今では当たり前にできる仕事も、最初は誰かが任せてくれなければ始まりません。だからこそ、今の自分があるのは、自分の努力だけではなく、誰かがくれた機会の積み重ねでもあると思います。
過信せず、ルーツを思い出す
仕事が少しずつ形になり、経験が増え、評価されることが増えてくると、人はどうしても過信しやすくなります。
自分の力でここまで来た。
自分の考え方が正しかった。
自分の努力が結果をつくった。
そう思うことは、決して悪いことではありません。
努力を認めることも、自信を持つことも大切です。
しかし、その自信が過信になった瞬間に、大切なものを見失ってしまいます。
自分を育ててくれた人。
最初に信じてくれた人。
厳しく向き合ってくれた人。
失敗した時に支えてくれた人。
チャンスを与えてくれた仕事。
そうしたルーツを忘れると、仕事はどこかで自分本位になっていきます。
「誰のおかげで今があるのか」を思い出すことは、謙虚になるためだけではありません。
自分がこれから何を大切にして働くべきかを、もう一度確認するためでもあります。
ルーツは過去ではなく、今の姿勢になる
ルーツというと、過去の思い出のように感じます。
しかし、本当に大切なルーツは、今の仕事の姿勢として残っていくものだと思います。
厳しく育ててもらったなら、自分も誰かに基準を伝えられる人になる。
信じて任せてもらったなら、自分も誰かに機会を渡せる人になる。
助けてもらった経験があるなら、今度は自分が困っている人を支えられる人になる。
仕事の面白さを教えてもらったなら、その面白さを次の人に伝えられる人になる。
ルーツを大切にするとは、ただ感謝することではありません。
そのルーツから受け取ったものを、今度は自分の行動で返していくことだと思います。
自分がしてもらったことを、次の誰かに渡していく。
自分が学ばせてもらった場所に、今度は自分の仕事で応えていく。
自分を育ててくれた考え方を、今の仕事の中で生かしていく。
そうすることで、過去の経験はただの思い出ではなく、今の自分を動かす力になります。
自分の原点に立ち返る
人は忙しくなるほど、自分の原点を忘れやすくなります。
目の前の仕事。数字。評価。成果。次の目標。
それらに追われているうちに、自分がどこから来たのかを見失ってしまうことがあります。
だからこそ、時々立ち止まって考えたい。
今の自分の仕事の考え方は、どこから来たのか。
誰の言葉が残っているのか。
どの仕事が転機になったのか。
どの失敗が自分を変えたのか。
誰が最初に信じてくれたのか。
その問いを持つだけで、仕事への向き合い方は少し変わります。
今の自分は、自分ひとりでできあがったものではない。
多くの人との出会い、仕事、失敗、悔しさ、信頼の中でつくられてきたものです。そのルーツを忘れずにいることは、これからの仕事を丁寧にすることにつながります。
感謝は、言葉だけではなく姿勢に出ます。
過去に受け取ったものを、今の仕事でどう返していくか。
そして、次の誰かにどう渡していくか。
その積み重ねが、自分の仕事の本当の価値になっていくのだと思います。
