mashima
まず動いてみる
「何者かになりたい」
若い人だけでなく、仕事をしている大人でも、ふとそう思うことがあるのではないでしょうか。
自分には何が向いているのか。
どんな仕事なら力を発揮できるのか。
このまま今の仕事を続けていていいのか。
もっと自分らしい働き方があるのではないか。
そう考えることは、決して悪いことではありません。
ただ、「自分にぴったりの何か」を頭の中だけで探し続けていても、なかなか答えは見つからないものです。
適職診断を受ける。才能について考える。自分の強みを探す。そうしたことも一つのきっかけにはなります。しかし、本当に自分に合うものは、実際にやってみた経験の中から見えてくることが多いのだと思います。

向いていることは、最初から分かるものではない
仕事でよく聞く言葉に「向いている」「向いていない」があります。
営業に向いている。デザインに向いている。人前で話すのに向いている。細かい作業に向いている。管理に向いている。
もちろん、人によって得意不得意はあります。
けれど、最初からはっきり分かることばかりではありません。
やってみたら意外と楽しかった。
苦手だと思っていたけれど、続けていたら得意になった。
自分では普通だと思っていたことを、周りから評価された。
頼まれてやった仕事が、後から自分の強みになった。
仕事では、こういうことがよくあります。
最初から「これが自分の道だ」と分かって進む人は、実はそれほど多くないのかもしれません。多くの場合、目の前の仕事に向き合い、人と出会い、頼まれごとに応えながら、自分の役割が少しずつ見えてくるのだと思います。
才能探しより、接点を増やすこと
自分の才能を探すことは大切です。
でも、才能は自分ひとりで考えているだけでは見つかりにくいものです。
なぜなら、自分では当たり前にできることほど、自分の強みだと気づきにくいからです。
人より少し早く理解できること。
人より自然に気づけること。
人より苦にならず続けられること。
人からよく頼まれること。
こうしたものは、外から見た時に初めて価値になることがあります。
だからこそ大切なのは、人や仕事との接点を増やすことです。
いろいろな人と話す。違う業種の人に会う。今までやったことのない仕事に少し関わってみる。頼まれたことを一度引き受けてみる。興味のある場所に顔を出してみる。
そうした小さな行動の中で、「自分はこういう時に力を出せるのかもしれない」という発見が生まれます。
才能は、頭の中で見つけるものというより、行動の中で発見されるものなのだと思います。
偶然をただの偶然で終わらせない
仕事には、偶然が大きく関わります。
たまたま出会った人。
たまたま頼まれた仕事。
たまたま参加した集まり。
たまたま見た情報。
たまたま声をかけられた機会。
その時は小さな出来事に見えても、後から振り返ると大きな転機だったということがあります。
もちろん、偶然は自分で完全にコントロールできるものではありません。
けれど、偶然に出会う確率は、自分の行動で増やすことができます。
人に会わなければ、出会いは生まれません。発信しなければ、声はかかりません。新しい場所に行かなければ、違う世界は見えません。何かを試さなければ、自分に合うかどうかも分かりません。
何者かになりたいなら、偶然を待つだけではなく、偶然に出会いやすい状態をつくることが大切です。
「これじゃない」も大切な経験
何かを始めてみると、「思っていたのと違う」と感じることがあります。
この仕事は自分に合わない。
この働き方は少し違う。
この環境では力を出しにくい。
興味はあったけれど、続けたいほどではなかった。
一見すると失敗のように思えるかもしれません。
でも、「これじゃない」と分かることも大切な経験です。
頭の中で考えているだけでは、自分に合わないものも分かりません。実際にやってみるから、違和感に気づけます。違うと分かるから、次の選択が少し具体的になります。
大切なのは、一度違ったからといって、自分には何もないと思わないことです。
違うものを知ることは、自分に近いものを探すための手がかりになります。
何者かになるより、役割を育てる
「何者かになりたい」と思う時、私たちはつい大きな肩書きや分かりやすい成功を想像してしまいます。
有名になる。
専門家になる。
独立する。
大きな成果を出す。
誰かに認められる。
もちろん、それも一つの形です。
ただ、仕事において大切なのは、最初から立派な何者かを目指すことだけではないと思います。
目の前の仕事で信頼される。
この人に頼むと安心だと思われる。
この分野なら相談したいと言われる。
小さな役割を積み重ねる。
人の期待に応えながら、自分の領域を広げていく。
そうした積み重ねの中で、いつの間にか周りから見た自分の役割ができていきます。
何者かになるというのは、突然肩書きが与えられることではなく、日々の行動の結果として役割が育っていくことなのかもしれません。
考えすぎるより、小さく試す
将来のことを考えるのは大切です。
でも、考えすぎると動けなくなることがあります。
失敗したらどうしよう。
向いていなかったらどうしよう。
意味がなかったらどうしよう。
もっと良い選択があるかもしれない。
そう考えているうちに、時間だけが過ぎていくことがあります。
だからこそ、最初から大きく決めなくてもいいのだと思います。
少し手伝ってみる。
短期間だけ試してみる。
話を聞きに行ってみる。
小さく発信してみる。
一つだけ学んでみる。
小さく試すことで、見えることがあります。
合うか合わないか。楽しいか苦しいか。続けたいかそうでもないか。人から反応があるかないか。
行動したからこそ得られる情報があります。
仕事は、動きながら形になっていく
自分の道は、最初からきれいに用意されているわけではありません。
今やっていること。
人から頼まれること。
偶然出会ったこと。
少し興味を持ったこと。
失敗して分かったこと。
周りから評価されたこと。
そうしたものが少しずつ重なって、自分の仕事の形になっていきます。
だから、何者かになりたいと思った時に大切なのは、完璧な答えを探し続けることではありません。
まず動いてみることです。
動けば、出会いが生まれます。
出会いがあれば、頼まれごとが生まれます。
頼まれごとに応えれば、経験が増えます。
経験が増えれば、自分の向き不向きが少し見えてきます。
その積み重ねの先に、自分らしい役割ができていくのだと思います。
何者かになるために必要なのは、最初から特別な才能を見つけることではありません。
小さく動き、偶然に出会い、経験を重ねながら、自分の役割を育てていくこと。
仕事の中で自分をつくっていくとは、そういうことなのだと思います。
