mashima
情報漏洩から自分を守るために
最近、「個人情報が漏洩した」「不正アクセスがあった」といったニュースを目にする機会が増えました。
こうしたニュースを見ると、「自分のパスワードも変えた方がいいのかな」「パスキーにしてあるから大丈夫かな」と不安になる方も多いと思います。
ただ、インターネットの安全対策は、一つ設定すればすべて安心というものではありません。
特に意識したいのは、一つの情報が漏れた時に、そこから別のサービスまで被害を広げないことです。
難しい専門知識がなくても、今からできることはあります。

一番気をつけたいのはパスワードの使い回し
たとえば、あるネットショップからメールアドレスとパスワードが漏れてしまったとします。
そのサイトだけで使っているパスワードなら、そこで変更すれば被害を抑えやすくなります。
問題は、同じメールアドレスとパスワードを、メール、SNS、通販サイト、金融サービスなどでも使っている場合です。
攻撃する側は、入手した情報を一つのサイトだけで試すとは限りません。同じ組み合わせで別のサービスにもログインできないかを試すことがあります。
つまり、「どこから漏れたか」だけを気にするのではなく、漏れた可能性のあるパスワードを、ほかでも使っていないかを確認することが大切です。
パスワードを変えるなら、サービスごとに違うものを使う。それをすべて覚えるのが難しければ、GoogleやAppleなどのパスワード管理機能を利用する方法もあります。
まず守りたいのは「ほかのサービスの鍵になるアカウント」
すべてのサービスを一度に見直そうとすると大変です。
そこで、優先順位を考えた方が分かりやすいと思います。
特に重要なのが、普段使っているメールアカウントやGoogleアカウント、Apple Accountです。
なぜなら、多くのサービスではパスワードを忘れた時に、メールを使って再設定を行うからです。
つまりメールを乗っ取られると、そこを入口に別のサービスまで狙われる可能性があります。
GoogleやAppleのアカウントも、スマートフォンのデータやパスワード、パスキーなど多くの情報と関係しています。
個別のサービスを一つずつ守ることも大切ですが、その前に「いろいろなサービスにつながっている中心部分」を強くしておくことが重要です。
パスキーは安全性が高い。でも「入れたから終わり」ではない
最近は「パスキー」という言葉もよく聞くようになりました。
パスキーは、従来のパスワードを入力する方法とは仕組みが違い、フィッシング詐欺にも強い認証方法です。Appleも、秘密鍵がサービス側に渡らない仕組みなどから、パスキーをフィッシング対策に強い認証情報として説明しています。
ですから、対応しているサービスなら活用した方がよい仕組みだと思います。
ただし、「パスキーにしたから、もう何も考えなくていい」というわけではありません。
パスキーを管理しているGoogleやAppleのアカウントそのものを安全にしておくことも重要です。
Googleには、パスキーやセキュリティキーを使ったログインを必須にし、アカウント復旧などもより厳しくする「高度な保護機能プログラム」が用意されています。特に重要な情報をGoogleアカウントで扱っている人は、こうした機能を知っておいてもよいでしょう。
Appleでも、iCloudキーチェーンに保存されたパスワードやパスキーはエンドツーエンドで暗号化され、Apple Accountでは2ファクタ認証などによって保護する仕組みが用意されています。
大切なのは「新しい仕組みだから絶対安全」と考えるのではなく、何を守る仕組みなのかを理解して使うことです。
個人情報が漏れた場合は「お金」だけでなく「自分の名義」にも注意する
情報漏洩というと、クレジットカードを不正利用されることを想像しがちです。
しかし注意したいのは、自分になりすまして契約される「名義の悪用」です。
運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認に使われる情報が漏れたり、盗難に遭ったりした場合には、信用情報機関に「本人申告情報」を登録できる制度があります。
たとえばCICでは、本人確認書類の紛失・盗難や、自分の名義が悪用される可能性がある場合に申告情報を登録し、クレジットやローンの審査時に注意を促す仕組みがあります。全国銀行個人信用情報センターにも同様の本人申告制度があります。
ただし、この制度を利用すれば不正契約を完全に防げるというものではありません。信用情報機関も、最終的な判断は各金融機関などが行うものだと説明しています。
「こういう制度もある」と知っているだけでも、実際に問題が起きた時の選択肢は増えます。
証券口座や金融サービスは、特に慎重に確認する
メールやSNSの乗っ取りも困りますが、銀行や証券口座などは直接的な金銭被害につながる可能性があります。
そのため、金融関係のアカウントは後回しにせず、現在どのような認証方法になっているかを確認しておきたいところです。
パスワードを使い回していないか。
利用できるのであれば多要素認証やパスキーなどを設定しているか。
身に覚えのないログインや取引がないか。
こうした確認を習慣にすることが大切です。
特に「昔つくった口座だから最近ログインしていない」というものほど、一度確認しておいた方が安心です。
使っていないサービスを放置しない
意外と盲点なのが、昔登録したサービスです。
何年も前につくった通販サイトのアカウントや、すでに使っていないサービスに、自分の名前、住所、電話番号、メールアドレスなどが残っていることがあります。
本人はその存在すら忘れている。
でも、情報は残っている。
こうしたアカウントが増えるほど、自分の情報が置かれている場所も増えていきます。
使っていないサービスで退会できるものは整理する。
これも立派なセキュリティ対策です。
何か新しいセキュリティソフトを導入するだけでなく、自分の情報を置く場所そのものを減らすという考え方も必要だと思います。
「絶対安全」ではなく、被害を広げない仕組みをつくる
インターネットの安全対策で難しいのは、「これをやれば100%安全です」と言えるものがほとんどないことです。
サービスを提供する企業側が十分に対策していても、新しい脆弱性が見つかることがあります。
利用者自身が気をつけていても、利用しているサービス側から情報が漏れてしまう可能性もあります。
だから、すべての事故を防ぐことだけを目標にすると限界があります。
私たち利用者が考えたいのは、何か一つ問題が起きても、その被害が連鎖しにくい状態をつくることです。
一つのパスワードが漏れても、ほかには入れない。
メールアカウントには強い認証を設定しておく。
金融サービスには別の防御を設ける。
使っていないアカウントは減らしておく。
こうした小さな対策を重ねることで、被害が広がる可能性を下げることができます。
ホームページを提供する側にも、同じ考え方が必要
私たちはホームページを制作し、サーバーやドメインの管理にも関わっています。
今回のようなセキュリティの話題が出るたびに感じるのは、制作会社側も「ホームページを公開して終わり」ではいけないということです。
使用しているプログラムやCMSを更新する。
バックアップを用意する。
必要のない機能やアカウントを残さない。
管理画面へのアクセスを守る。
一つの対策だけに頼らず、いくつかの防御を重ねる。
これは個人のパスワード管理と同じです。
「この対策をしているから絶対安全」ではなく、もし一つが突破されたとしても、その次で止める。
これからのホームページ運用では、そうした考え方がますます大切になると思います。
便利になるほど「一番大切な鍵」を意識する
私たちは、以前よりずっと便利にインターネットを使えるようになりました。
GoogleやAppleのアカウント一つでさまざまなサービスを利用でき、パスワードも自動で管理できます。
パスキーによって、複雑なパスワードを覚えなくてもログインできる場面も増えてきました。
便利になること自体は、とても良いことです。
ただ、便利になるほど、一つのアカウントに集まる情報も増えていきます。
だからこそ、どこが自分のデジタル生活の「一番大切な鍵」になっているのかを知っておく必要があります。
全部を完璧に守ろうとすると大変です。
まずは、使い回しているパスワードがないかを確認する。
次に、メール、Google、Appleなど重要なアカウントのセキュリティを見直す。
そして、金融サービスや使っていないアカウントも少しずつ整理する。
一度に全部やる必要はありません。
ただ、「自分は大丈夫だろう」で終わらせず、一度確認してみる。
今の時代、それが一番現実的な情報漏洩対策なのだと思います。
