shimazaki
製品を売る時代から体験を売る時代へ
みなさんこんにちは。横浜出身研修生の「シウマイ」です。
今回のテーマは「マーケティング」の変化です。
今日のマーケティングの考え方の基本は「顧客目線」です。「こういう商品やサービスが欲しい」というニーズを見出すことがマーケティングの目的であり、ここを出発点にして試行錯誤をすることで新しい商品を生み出すことにつなりがます。
この思想自体は昔も今も変わらないものです。しかしながら、時代が進むにつれて世の中は大きく動いています。
例えば、デジタル技術が高度に進歩した一方で、気候変動による災害の増加や開発による環境の汚染が広がり、経済成長は緩やかになりました。
これら時代の変化に伴って、マーケティングにおける「顧客」の在り方も確実に変化しています。
世の中が変化すれば、もちろんそれに合わせてその時その時に合ったマーケティングを考える必要があります。
流行を捉えることはもちろんですが、現在では環境への配慮といった時代が抱える問題への対処もマーケティングの課題です。
ここで、マーケティングが時代によってどのように変化してきたのかを確認してみましょう。
マーケティングの概念が生まれた理由は産業革命によって製品の大量生産が可能になったからです。
20世紀の中ごろは商品を作れば売れた時代、製品をニーズを持つ顧客に届けるための手段としてマーケティングが始まりました。
当時の顧客のニーズは製品の「機能」にあり、ひとまず製品を安く手に入れることが重要でした。
このころを「マーケティング1.0」といい、製品が中心の考え方で、企業は安く効率的に製品を多くの顧客に売ることに注力していました。
時代が進むにつれて高機能な製品が市場に溢れはじめ、また石油ショックなどの経済的な落ち込みによって世の中の需要が低迷しました。
このころから顧客は商品の機能に加えて、見た目やブランドなどの「嗜好性」に価値を見出すようになります。
これが「マーケティング2.0」の時代です。
それまで製品中心だった市場は消費者が主導するようになり、企業はターゲットを明確に絞りこむ必要が出てきました。
競合との差別化を図るため、企業は商品に色やデザイン性などの特別な付加価値を付けることで多様化した顧客のニーズに応えるよう努力しました。
90年代以降は過剰な開発や環境汚染が深刻な問題として取り上げられるようになり、顧客が商品を見る目もさらに厳しくなりました。
「マーケティング3.0」の時代では製品そのものの価値に加えて、教育への貢献や社会的責任の遂行といった「企業努力」も評価の対象にされます。
この時期から企業は品質だけでなく、製造や流通において環境に良いブランドであるとアピールしはじめました。
それにより顧客は「社会的責任を果たしている企業の商品」を選ぶようになり、製品の価値だけではマーケティングは通用しない時代になったのです。
こうした社会問題への取り組みに対して、「きれいごとを言うな」という声は確かに多くあります。
しかし、国際的な企業の動きとして、「問題解決に取り組み、それを収益化してしまおう」という流れは実際に起こっています。もはや「やっている風」の表面の話ではなく、当たり前のように議論するべき内容になっており、社会貢献をしない企業は長期的な目標を立てられないという評価を受けてしまう可能性があります。
社会問題を解決するという姿勢も、れっきとした経営課題でありビジネスのチャンスですから、真剣に取り組むことが必要です。
そして現在は「マーケティング4.0」の時代に突入しています。現在の顧客のニーズは商品を購入することだけではなく、商品の購入によって「精神的な欲求を満たす」ことです。
最近ではインターネットの発達によって顧客はより多くの情報を持つようになり、ブログなどを用いて情報発信をしています。
このような顧客が発信する体験に基づく情報は説得力があり、拡散力が強い顧客による発信であれば大きな流行を生み出す力があるため、商品の売り上げを大きく左右します。そのため企業のマーケティングは商品購入後にまで及んでおり、強い発信力を持つ顧客は企業のアンバサダーとして、製品の「推奨」をする役割を担っています。実際に、有名なインフルエンサーを起用することで製品の評価を獲得しようとする企業が増えています。
これらを踏まえると、今後の企業が見据えるべきマーケティングの在り方は「顧客と共に価値を創造する」ことになります。
これまで企業は「自社の強みを活かす」ことで成長してきましたが、しかし一方で、それによって公害の発生や労働の搾取など社会的なコストが増えてしまった過去があります。
これからの時代は単に製品の価値を考えるだけではなく、社会的な課題に取り組み、
顧客一人一人の声に耳を傾けながら新たなニーズを見つけ出すことで共に価値を創ることができる企業が生き抜いていくでしょう。
製品を購入すると#1「顧客の生活が便利になり」、#2「お洒落でデザイン性が良く」、#3「そして環境に優しく」、#4「人にお勧めしたいと思う。」
このような観点を満たすことができる商品は、良いものとして世に広がっていきます。
日本にはもともと「世のために」といった精神があり、顧客を満足させる姿勢や環境に対する配慮は文化的に根付いていますから、今後はさらに一歩進んだ具体的な効果や目標を企業が顧客と一体になって達成していく時代に変化していくのではないかと考えられます。