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チェリーピッキング(早まった一般化)

チェリーピッキングとは、特定の事例を選び出し、それを一般的な真実であるかのように扱う詭弁の一種です。この論法は、データや事実から都合の良い部分だけを抜き出し、全体の文脈や他の重要な証拠を無視した論法です。

例えば、「私はこれまで3回人に騙された、だから人は信じてはいけない」といった場合、非常に限られた個人的な経験を基に、全ての人間に対する信頼を否定する極端な表現です。このような断定は、個別の事例に基づく過剰な一般化です。

インターネットやSNSの普及により、情報の量は爆発的に増加しましたが、それに伴い情報の質の管理が難しくなっています。ユーザーは無数の情報源から情報を受け取りますが、それらの情報がどの程度信頼性があるのか、また全体の中でどのような位置づけにあるのかを判断するのは容易ではありません。この状況がチェリーピッキングを促進し、誤った一般化や誤解を生む原因となっています。

より説得力のある議論を組み立てるためには、「人は信じてはいけない」という断定的な表現を避け、「もしかしたら人は信じてはいけないのかもしれない」と仮説を立てることが適切です。仮説は、あくまで一つの可能性を提案しているに過ぎず、聞き手に対してさらなる思考や議論を促します。

仕事や日常生活においては、チェリーピッキングに注意し、情報を批判的に評価するスキルが求められます。特に、データを用いて意思決定を行う際には、選択的に情報を使用することなく、全体の文脈を理解し、複数の視点から情報を検討することが重要です。また、自分自身が情報を発信する際にも、偏った情報提供を避け、バランスの取れた視点を提供することが信頼性を保つ上で不可欠です。

チェリーピッキングは誤解や誤情報を広める原因となるため、この論法を識別し、適切に対処することが、賢明な情報消費者としての基本的な責任と言えるでしょう。
また個々に情報の取捨選択ができる能力を身につけなくてはならない時代でもあります。