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マツケンサンバのブランディング
2004年に一世を風靡した「マツケンサンバⅡ」。歌舞伎俳優・松平健さんがきらびやかな衣装をまとい、陽気なサンバのリズムに乗せて歌い踊る姿は、多くの人々の心に強烈な印象を残しました。
そして驚くべきことに、20年近く経った今でもCMやイベント、SNS、さらには 各地の盆踊りの定番曲 としても取り上げられ、人々から親しまれ続けています。
これは単なる一発ヒット曲ではなく、マーケティングにおける「ブランディング」の成功例として学べるポイントが数多くあります。

- 圧倒的な「一貫性」が生むブランド体験
ブランディングの基本は「一貫性」です。マツケンサンバの魅力は、派手な衣装、ラテンのリズム、松平健さんの存在感という「お約束」が揺るがない点にあります。
観る人は「マツケンサンバといえばこれ!」とすぐに連想でき、ブランド体験として強く定着しているのです。
- 「非日常感」と「親しみやすさ」の絶妙なバランス
ブランドは人の感情を動かすことで記憶に残ります。マツケンサンバは煌びやかな舞台演出によって非日常を体験させつつも、曲調や歌詞はどこかユーモラスで、誰もが口ずさめる親しみやすさを兼ね備えています。
これにより、老若男女を問わず幅広い層に受け入れられる稀有な存在となりました。
- 地域文化に根付いた「共感のブランド化」
特筆すべきは、各地の盆踊りでマツケンサンバが踊られている ことです。
従来の盆踊り曲に加えて取り入れられることで、地域の伝統行事がより楽しく、誰もが参加しやすい雰囲気になっています。若い世代にとっては「知っている曲だから参加しやすい」、年配世代にとっては「懐かしくも新しい」と感じられる。
こうした地域イベントでの活用は、マツケンサンバが単なる楽曲を超えて、人々のつながりを生む「共感のブランド」 として機能している証拠です。

- 再利用・リバイバルされやすい「象徴性」
強いブランドは、時代を超えて再び価値を持ちます。マツケンサンバはその象徴的なイメージによって、テレビ番組、CM、SNS、そして地域の盆踊りと、さまざまな文脈で引用されても飽きられません。むしろ「懐かしい」「やっぱり楽しい」とポジティブに受け止められます。
これはブランドが“再解釈可能”でありながらも、オリジナルの価値を損なわない理想的な状態です。
- 「エンタメ性」がブランドを人々の心に残す
マーケティングにおいて、楽しさや驚きは大きな武器です。マツケンサンバはまさに「観た人が笑顔になる」体験を提供し続けてきました。
その楽しさが、家庭、地域、企業など多様な場面で共通言語となり、人々をつなぎ続けています。
企業や商品も、このように「人々の記憶に残る体験」を設計し、一貫して発信し続けることで、時代や世代を超えて愛されるブランドを築くことができるでしょう。