mashima
難しい仕事に向き合う人が、次の自分に出会える
仕事をしていると、できるだけ失敗しない仕事を選びたくなることがあります。
経験のある仕事、段取りが読める仕事、過去と同じやり方で進められる仕事。そうした仕事は安心感がありますし、確実に成果を出しやすいものです。もちろん、安定して仕事を進める力は大切です。約束を守り、品質を保ち、信頼を積み重ねることは、どんな仕事でも基本になります。
しかし、自分を大きく成長させてくれるのは、いつも簡単にできる仕事ではありません。
少し不安になる仕事、自分の今の力では足りないかもしれない仕事、考えたことのない方法を試さなければならない仕事、人を巻き込みながら進めなければならない仕事。そういう難しい仕事に向き合った時に、人は初めて今までの自分を超える必要に迫られます。
難しい仕事は、自分の限界を教えてくれる
難しい仕事に取り組むと、自分に足りないものがはっきり見えてきます。
普段は問題なくできていると思っていた段取りが甘かったり、説明できているつもりの言葉が相手には伝わっていなかったり、判断できると思っていたことが実は経験に頼っていただけだったりします。
難しい仕事は、そうした自分の弱さをごまかさせてくれません。
だからこそ、難しい仕事は苦しいものです。自分の力不足を感じる瞬間がありますし、思い通りに進まない場面も出てきます。誰かに相談しなければならないこともありますし、これまでのやり方を変えなければならないこともあります。
しかし、その苦しさの中にこそ成長があります。
簡単な仕事では、自分の弱点に気づきにくいものです。できる範囲の仕事だけを続けていると、自分がどこまでできるのかも、何が足りないのかも見えにくくなります。難しい仕事は、自分の現在地をはっきり見せてくれるのです。

できる仕事だけを選ぶと、進歩は止まる
仕事に慣れてくると、人は自然とできる仕事を選ぶようになります。
それは決して悪いことではありません。経験を活かして効率よく進めることも、失敗を避ける判断も、仕事では必要です。しかし、できる仕事だけに留まっていると、いつの間にか自分の成長も止まってしまいます。
昨日と同じやり方で今日も終わる。去年と同じ考え方で今年も仕事を進める。失敗しない代わりに、新しい発見も少なくなる。そうした働き方を続けていると、仕事は安定しているように見えて、実は少しずつ自分の可能性を狭めているのかもしれません。
難しい仕事を狙うということは、無謀に飛び込むという意味ではありません。自分が成長するために、あえて少し高い場所に手を伸ばすということです。
今の自分にとって簡単ではないけれど、取り組む価値がある。怖さはあるけれど、成し遂げた先に新しい力がつく。そう感じる仕事に向き合うことで、仕事の基準は少しずつ上がっていきます。
難しい仕事は、考える量を増やしてくれる
簡単な仕事は、経験で進めることができます。
過去のやり方をなぞり、いつもの段取りで進めれば、大きな問題なく終わることも多いでしょう。しかし難しい仕事は、それだけでは進みません。
なぜこの仕事が必要なのか、誰のためにやるのか、どこに本当の課題があるのか、何を優先すべきなのか、どう伝えれば相手に納得してもらえるのか。難しい仕事ほど、考えなければならないことが増えていきます。
この「考える量」が、人を成長させるのだと思います。
ただ作業をこなすだけでは、仕事の筋力はなかなかつきません。考え、迷い、調べ、相談し、修正しながら前に進む。その過程で、判断力や提案力、段取り力、コミュニケーション力が鍛えられていきます。
難しい仕事は、作業量だけでなく思考量を増やしてくれます。そして、その思考量こそが、次の仕事の質を変えていきます。
成し遂げる経験が、自信になる
難しい仕事は、取り組んでいる最中は不安が大きいものです。
本当にできるのか、間に合うのか、相手の期待に応えられるのか、もっと良い方法があるのではないか。そうした不安を抱えながら、それでも一つひとつ進めていく時間は、決して楽なものではありません。
しかし、難しい仕事を成し遂げた経験は、自分の中に深く残ります。
あの時、逃げずにやり切った。あの時、分からないなりに調べて、考えて、人に助けてもらいながら形にした。あの時、自分には無理だと思っていた仕事を、何とか最後まで持っていった。そういう経験は、次に難しい仕事が来た時の支えになります。
本当の自信は、最初からあるものではありません。難しい仕事に向き合い、苦しみながらも成し遂げた経験の積み重ねから生まれるものです。
難しい仕事は、人との関係も深くする
難しい仕事は、一人だけでは進められないことが多くあります。
自分の力だけでは足りないから、誰かに相談する。専門的なことが分からないから、詳しい人に聞く。関係者の考えが違うから、調整しながら進める。そうしたやり取りの中で、人との関係も深くなっていきます。
簡単な仕事は、自分だけで完結できるかもしれません。しかし、難しい仕事は人を必要とします。
誰かの知恵を借りること、助けてもらうこと、意見を聞くこと、時には自分の考えを変えること。そうした経験を通じて、自分ひとりでできることの限界と、人と一緒に仕事をすることの価値が見えてきます。
難しい仕事を成し遂げる過程では、自分の力だけでなく、周りの力の大切さにも気づかされます。その気づきは、仕事を続けていくうえでとても大切な財産になります。
難しい仕事を避けない姿勢
難しい仕事を狙うということは、常に危険な仕事や無理な仕事を選ぶということではありません。
本当に大切なのは、目の前にある少し難しい仕事から逃げないことです。やったことがないから避けるのではなく、どうすればできるのかを考える。自分にはまだ早いと決めつけるのではなく、学びながら進める方法を探す。失敗したら怖いからやめるのではなく、失敗しないために何を準備すべきかを考える。
そうした姿勢が、自分の仕事を少しずつ変えていきます。
難しい仕事は、できれば避けたいものです。しかし、そこに向き合わなければ得られない成長があります。簡単に終わる仕事は安心をくれますが、難しい仕事は進歩をくれます。
進歩は、難しい仕事の先にある
成長したいと思うなら、今の自分にとって少し難しい仕事に向き合う必要があります。
最初からうまくできなくてもいいと思います。むしろ、最初から簡単にできる仕事なら、そこに大きな進歩は少ないのかもしれません。分からないことがあり、悩むことがあり、不安になることがあり、それでも何とか形にしていく。その過程が、自分を一段上に連れていってくれます。
難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
この言葉は、無理をして大きく見せろという意味ではなく、自分の成長につながる仕事から逃げるな、ということなのだと思います。
人は、簡単な仕事だけでは大きく変わりません。少し難しい仕事に向き合い、自分の足りなさを知り、それでも逃げずに考え、動き、成し遂げる。その経験が、自分の仕事力を深くしていきます。
難しい仕事は、怖いものです。けれど、その怖さの先にしか見えない景色があります。
その景色を一度見た人は、次の仕事への向き合い方が変わります。自分にはまだできないと決めつけるのではなく、どうすればできるようになるのかを考えるようになります。
仕事の進歩とは、そうやって自分の限界を少しずつ更新していくことなのだと思います。
