mashima
仕事ができる人
仕事ができる人とは、どんな人でしょうか。
判断が早い人。行動が早い人。専門知識がある人。人をまとめるのがうまい人。いろいろな能力があると思います。
その中でも、仕事ができる人に共通しているのが「言葉の使い方」です。
ここでいう語彙力とは、難しい言葉をたくさん知っていることではありません。専門用語やカタカナ言葉を並べることでもありません。
相手に伝わる言葉を選べること。
あいまいなことを具体的にできること。
相手が判断しやすいように、情報を整理して伝えられること。
それが、仕事における語彙力だと思います。

仕事は、言葉で進んでいる
仕事は、ほとんどが言葉で進んでいます。
打ち合わせをする。依頼を受ける。報告する。確認する。相談する。提案する。断る。お願いする。説明する。
どの場面にも、必ず言葉があります。
同じ内容でも、言い方ひとつで相手の受け取り方は変わります。
「これ、やっておいてください」と言うのか。
「この目的のために、ここをお願いできますか」と言うのか。
「無理です」と言うのか。
「この条件だと難しいですが、ここまでなら対応できます」と言うのか。
少し言葉を変えるだけで、相手の安心感や動きやすさは変わります。
仕事ができる人は、ただ思ったことを言うのではなく、相手が受け取りやすい形にして伝えています。
語彙力がある人は、あいまいなことを整理できる
仕事が止まる原因のひとつに、「言葉が足りない」ということがあります。
たとえば、「なんとなく不安です」と言われても、相手は何を直せばいいのか分かりません。
けれど、そこから一歩進んで、
「納期が見えないことが不安です」
「費用が増える可能性が分からないことが不安です」
「完成イメージが共有できていないことが不安です」
と言えれば、次に何をすればいいかが見えてきます。
「いい感じ」「微妙」「急ぎ」「ちゃんと」などの言葉は、日常ではよく使います。しかし仕事では、それだけだと伝わりにくいことがあります。
何がいいのか。どこが微妙なのか。いつまでに必要なのか。何をもってちゃんとなのか。
そこを言葉にできる人は、仕事を前に進めることができます。
語彙力は、相手の負担を減らす力
仕事で大切なのは、相手に考えさせすぎないことです。
たとえば、「今、進めています」という報告だけでは、相手は状況を判断できません。
「現在、半分ほど進んでいます。明日の午前中に初稿を共有し、午後に修正対応に入る予定です」
ここまで伝えれば、相手は安心できます。
語彙力がある人は、相手が知りたいことを先に言葉にします。
「急ぎです」ではなく、「明日の午前中までに確認が必要です」と伝える。
「見にくいです」ではなく、「情報が多く、最初に見るべきポイントが分かりにくいです」と伝える。
「いいと思います」ではなく、「落ち着いた印象で、信頼感が出ています」と伝える。
言葉が具体的になるほど、相手は判断しやすくなります。
つまり語彙力とは、相手の負担を減らす力でもあります。
難しい言葉を使うことが語彙力ではない
語彙力というと、難しい言葉を知っていることだと思われがちです。
でも、仕事で必要なのは、相手に合わせて言葉を選ぶ力です。
専門家同士なら専門用語が便利な場面もあります。しかし、相手がその言葉を知らなければ、専門用語は説明ではなく壁になります。
本当に仕事ができる人は、難しいことを難しいまま話しません。
相手が分かる言葉に置き換えます。
たとえ話を使います。
今の相手に必要な深さで説明します。
言葉を知っていることよりも、相手に伝わる言葉を選べること。
それが仕事で使える語彙力です。
感情を仕事に使える言葉へ変える
言葉が足りない時、人は感情だけで伝えてしまうことがあります。
「なんか違う」
「もっとちゃんとしてほしい」
「普通は分かるはず」
「とにかく困っています」
気持ちは伝わりますが、これだけでは相手は動きにくいものです。
何が違うのか。何を直してほしいのか。どこに困っているのか。それを言葉にすることで、仕事は進みます。
たとえば、
「不安なのは、完成までの流れが見えていないからです」
「違和感があるのは、ターゲットより少し若すぎる印象に見えるからです」
「急いでいる理由は、明日の会議で説明が必要だからです」
このように感情の理由を言葉にできると、相手も受け止めやすくなります。
語彙力は、感情を抑えるためのものではありません。
感情を、仕事で使える形に整えるためのものです。
仕事ができる人は、言葉で場を整える
仕事ができる人は、言葉で場を整えています。
会議が散らかっている時には、論点を整理する。
相手が不安そうな時には、次の流れを説明する。
認識がズレている時には、目的に立ち戻る。
判断が止まっている時には、選択肢を言葉にする。
こうしたことができる人がいると、仕事は進みやすくなります。
仕事ができるとは、自分の作業が早いことだけではありません。周囲の人が動きやすくなるように、情報や目的を整理できることでもあります。
その中心にあるのが、言葉の力です。
語彙力は、頭の良さを見せるためのものではありません。
相手の負担を減らし、認識のズレを防ぎ、仕事を前に進めるための力です。
仕事ができる人とは、難しい言葉を使う人ではなく、相手に伝わる言葉を選べる人。
そう考えると、言葉を磨くことは、そのまま仕事を磨くことにつながっていくのだと思います。
