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「〇〇といえば△△」その確固たる強みとは何か?「STP分析」の「P」ポジショニングとは

みなさんこんにちは。横浜出身研修生のシウマイです。
今回はSTP分析の最後の「P」ポジショニングについて扱っていきます。

ポジショニング(Positioning)とは

ポジショニングとは、「位置」や「立場」を意味する英単語です。マーケティング戦略においては、市場において自社がどのような立ち位置(ポジション)を取るかを決めることであり、自社製品が顧客に対してどのようにアピールできるかを決めるプロセスになります。つまり、「ビールと言えばスーパードライだ。すっきりしたのどごしが良い。」というような、顧客の心の中に明確な「ポジション」を構築することがポジショニングの目的になります。

現在の市場には商品やサービスがあふれています。消費者はこれら大量の情報から自身の好みに合ったものを選び取るため、商品やブランドをより単純にして整理する必要があります。
商品やサービスは私たちの心の中で様々な形でランキングされていて、こうした過去の購入体験や広告などによって「〇〇といえば△△」といった概念が形成されています。こうした位置づけは習慣によってある程度決まってしまうため、一度固定化してしまったものはなかなか変化しません。

お気に入りのビールを飲む男性

このようなポジションを獲得するため、企業は「自社製品が競合他社のものと比べてどう優れているのか」を明確にする必要があり、そのための戦略としてポジショニングを行います。

ポジショニングを効果的に行うためには、あらかじめ市場を正しく理解し、ターゲットとなる顧客を定めることが重要ですから、必然的に「STP分析」ではポジショニングが最後に実施されます。

「STP分析」
・セグメンテーション(Segmentation):市場の全体像を把握し、細分化する
・ターゲティング(Targeting):細分化した市場の中から狙う市場を定める
ポジショニング(Positioning):競合他社との位置関係を明確にする

ポジショニングの手順

①セグメンテーション、ターゲティングをする
ポジショニングはSTP分析における最後のプロセスですから、まずはセグメンテーションとターゲティングを行う必要があります。

まず、セグメンテーションとは、「大きな市場をさまざまな基準で分類し、より小さなグループに細分化する」ことです。細分化する際の基準は以下のようなものがあります。

地理的変数(例:地域、気候、人口密度)
人口動態変数(例:年齢、性別、職業)
心理的変数(例:消費者の性格・価値観・趣味)
行動変数(例:消費者の購買歴や製品への関心・知識)
セグメンテーションの詳細は以前の記事でまとめています。

続いて、ターゲティングとは「細分化された市場のなかから、自社が狙う市場を選ぶ」ことです。
ターゲティングを行う際には、「6R」と呼ばれるフレームワークを活用します。6Rとは以下のようなものです。

有効な市場規模 Realistic Scale: 期待する売上を確保できる市場規模がある
成長性 Rate of Growth:市場の成長性が高い
顧客の優先順位と波及効果 Rank/Ripple Effect:顧客に対する影響力が大きい
到達可能性 Reach:顧客に対してアプローチしやすい
競合状況 Rival:強力な競合が少ない、競合の数が少ない
反応の測定可能性 Response:マーケティング戦略に対する顧客の反応を測定しやすい
ターゲティングの詳細は以前の記事でまとめています。

②ポジショニングの軸を決める
セグメンテーションおよびターゲティングを行ったら、いよいよポジショニングへと移ります。ポジショニング戦略を考える際にはポジショニングマップを使用します。ポジショニングマップとは、縦横に軸を取ったマトリクス図であり、自社と競合他社との位置関係を視覚的に分かるようにしたものです。

ポジショニングマップを効果的なものにするためには、ターゲットとなる顧客が商品やサービスを選ぶ基準にしている事柄を軸として設定する必要があります。そのために、まずは顧客の購買決定要因(Key Buying Factor:KBF)を洗い出していきます。

購買決定要因は、商品・サービスの特徴やスペック、価格、付帯サービスなど業界によってさまざまです。もちろん同じ業界でも、ターゲットとなる顧客によって重要視する点は変わってきます。
ターゲットとなる顧客層に対して、自社が持つ優位点を訴求できる事柄を複数並べて、他社と自社を比較できる軸を選びましょう。

③他社をポジショニングマップに配置する
2つの軸を決定した後、まず他社の製品をマップに配置します。これにより、ターゲット市場における競合他社の位置関係を把握することができます。
そして最後に、自社製品の展開が有利なポジションを検討します。このとき、マップ上に空白となっている箇所は競合他社が着手していない場所ですから、差別化できる可能性が高く、顧客に対して独自の価値を提供しやすいです。

ポジショニングのポイント

マーケティング戦略を効果的にするために、ポジショニングをする際に気を付けるべき注意点が3つあります。

ポイント①顧客のニーズがあるポジションか
「他社との差別化を図れるかどうか」という基準のみで自社製品のポジショニングを設定すると、失敗する可能性が高いです。なぜなら、顧客からのニーズがあまりないポジションを選択してしまうおそれがあるためです。

例えば、「オシャレに強い関心を持つ顧客」をターゲットしている場合に、「機能性の高さ」「肌に優しい素材か」という2つの軸を設定してしまうと、「オシャレな製品」という顧客のニーズを満たせなくなるおそれがあります。

これを防ぐには、「差別化を図る」だけでなく、ターゲットとする顧客のニーズも踏まえて軸を設定することが大切です。例でいうと、2つの軸は「価格」「オシャレさ」などが望ましいでしょう。

ポイント②自社の理念や戦略と合っているか
例えば、「顧客に対して安価な製品を提供する」という理念の企業が高価格帯の市場にポジショニングを設定すると、理念と製品のポジションとの間で食い違いが起ってしまいます。これでは、企業目標の達成に支障が生じ、顧客からの印象が悪化するおそれがあります。

ポジショニングでは、もちろん差別化や顧客ニーズの意識が大切ですが、それに囚われてすぎて、そもそものコンセプトが崩れてしまわないように注意しましょう。

ポイント③ポジショニングマップの軸が似通っていないか
ポジショニングマップにおいて、仮に似通っている2つの軸を設定すると、競合他社と明確に差別化できるポジションを見つけにくくなってしまいます。
例えば、「価格」と「性能」という軸を設定すると、一般に価格が高くなるほど製品の性能が向上するのは当然ですから、この2つの軸を別々に設定する意味合いは薄くなってしまうということです。

ポジショニングマップの例

例えば、生活雑貨を展開する場合を考えてみましょう。今回は「デザインがシンプルかどうか」「価格が高いか」といった2つの軸で見ていきます。(例として身近なブランドを配置しました。)

近年はシンプルなデザインが流行してますから、身近なブランドも単純な設計のものに寄っています。しかし、反対に高機能なハイブランドは穴場になっており、多機能な。
こうしてマッピングをした後は、自社の提供するサービスについて、競合他社と差別化できるほどの価値が備わっているかどうかを検討していくのが一般的です。

以上がポジショニングの解説になります。
実際にポジショニングマップを有効活用していくためには、「顧客が魅力を感じるか」「競合他社が気付いているか」「自社が提供できる製品なのか」といったポイントを意識することが大切です。
自社の強みを活かし、「〇〇といえば△△」という地位を築いていくことで、ターゲットの需要をしっかりとつかんだマーケティング戦略を展開していきましょう。