株式会社間島宣伝事務所

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シドニーでのレポート。

地域、日本、世界。

間島宣伝事務所は、個人事業から法人化して2024年で創業10年目を迎えます。
コロナウイルスの影響で経済が停滞していた時期もようやく終わりを告げ、新たな時代の変化に対応するための行動が求められています。この状況を受けて、当社は「地域、日本、世界」というスローガンを掲げ、行動を起こすことにしました。これは、単なる利益追求ではなく、何か意義ある取り組みをすることで、私たちの会社がこれからも社会に貢献し続けられると信じるものです。

「地域」という観点からは、地元の若者に対してグラフィックデザインやWEB制作の技術向上のためのトレーニングを開始しました。
「日本」としては、県外での起業を目指す人々をサポートするための取り組みが進行中です。
そして「世界」へのアクションとして、未知の市場への進出を目指し、直感に従って代表の間島がオーストラリアへ渡航することを決めました。
今回のシドニーでのレポートはロジックな面での考察の他、個人的、直感的な感想も含まれますのでご了承ください。

シドニーでのレポート

オーストラリア

オーストラリアの人口は年々増加しており、2022年12月の時点で約2626万人に達しています。この増加は、移民政策の再開により、2017年から4年間で約102万人の海外からの移民を受け入れた結果です。
国土は広大で日本の20倍以上あるものの、人口密度は低く、これが国内の物流コストを高くしています。また、国内では価格競争が少なく、人件費が高いため、物価は日本の約2~3倍になっています。

人件費に関しては、オーストラリアの最低賃金は時給21.28豪ドル、週給は812.60豪ドルです。これは日本の最低賃金と比較して約40%以上高いとされています。

産業面では、石炭や鉄鉱石など豊富な資源を持つオーストラリアは、主要産業が第三次産業でその割合は71.1%に上ります。これに対して、資源に乏しい日本はものづくりの分野で価値を持っています。
オーストラリアにビジネスの可能性を感じた理由は、大手企業が少なく競争が低いこと、経済の成長が魅力的であること、多様な移民を受け入れることで様々な市場が形成されているためテストマーケットとしての利点があることからです。これらの要因が、オーストラリアでのビジネスチャンスが存在すると判断した理由です。

シドニーでのレポート
Brisbane city skyline and Brisbane river at twilight in Australia

初めての海外渡航

私のオーストラリア渡航は冒険的な決断でした。初めての海外経験で、英語も話せず、現地に知人もいませんでした。そこで、当社がオーストラリアにどんな目的で行くのかを文章にして長野県内に配信してみることにしました。これをきっかけに、地元の知人から「オーストラリアにいる人を紹介する」といった情報が寄せられました。その結果、渡航前に多くの現地情報を得ることができ、現地の方々ともコンタクトを取ることができました。この経験から、自分の決意や考えを人に公表すると、思わぬ支援や動きが生まれることを実感しました。

シドニーに向けてSNS広告を配信

さらにオーストラリアでの人脈を広げたいと考えた結果、InstagramとFacebookを用いたSNS広告を通じてシドニーでの交流会を企画しました。広告では「オーストラリアへ受注のヒントを求めて来た私と交流しませんか」と呼びかけました。この広告により、現地の広告代理店の従業員、語学学校のスタッフ、デザインを学ぶ学生、ビジネス英語に長けた方など、約10名の日本人若者から参加の意志が示されました。これらの奇跡的に繋がったシドニーの新たな仲間たちとは、今後もお互いにサポートし合いながら関係を継続していく予定です。

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各国の食文化が集合

シドニーを歩くと、多国籍な外国人が目につくことからも分かるように、オーストラリアは多くの移民を受け入れています。この多文化的な背景のおかげで、さまざまな国の飲食店があり、特に日本食や中華などのアジア料理が豊富に存在します。このため、日本の食文化を恋しく思うことはほとんどありません。貿易の専門家によると、日本からの輸入品の中でも特に人気が高いのは日本の調味料で、これは様々な国の飲食店で日本食をアレンジした料理が流行っているからです。これにより、日本の調味料への需要が増えているとのこと。

また、シドニーのフィッシュマーケットでは、日本人が魚の血抜きという技術を指導しており、日本の寿司や刺身は現地で同じように美味しく提供されています。これは、日本食の国際展開がすでに進んでいる証拠です。しかし、現地の情報に精通した人々によれば、長野県の特産品である蕎麦やおやきなどにはまだ市場の可能性が広がっていると言われています。

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ゴミ箱のある街並み

シドニーの街角には多くのゴミ箱が設置されており、これらは常に清潔に保たれています。これは、定期的に巡回するゴミ収集車がゴミ箱をこまめに清掃しているためです。ゴミ箱の設置が多いことで、人々はカフェからテイクアウトしたラテやサンドイッチを食べ歩きし、食べ終わったらすぐに近くのゴミ箱に捨てることができます。そのため、日本のようにゴミ箱がないからといってイートインを選択するか、購入を控える必要がないのです。またゴミ収集のための清掃業務という雇用も生まれています。

一方で、日本では過去の宗教団体の事件が原因で街中からゴミ箱がなくなった歴史があります。そして、日本では「ゴミ箱がある=治安が悪化する・町が汚れる」という認識が根強いものの、シドニーのような清潔で利便性の高い公共のゴミ箱カルチャーは、私個人としても地元に導入されることを望むものでした。

シドニーでのレポート
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おじいちゃん、おばあちゃんも
キャッシュレス

シドニーの街を歩いていると、地元の年配の方々もワイヤレスイヤフォンを使用し、スマートフォンのBluetoothで楽しそうに会話をしている光景が目につきます。また、現金での支払いをしている人はほとんどおらず、シドニーは年齢を問わずキャッシュレスが浸透しているようです。さらに、Uberなどのタクシー配車アプリを使った移動が一般的であり、若者だけでなくシニア層もインターネットの利用に慣れているため、街の動きは非常にスムーズだと感じられます。

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日本車の多さの理由

シドニーの道路を走る車の中で、トヨタやホンダなどの日本車が多くを占めていることが目につきます。電気自動車(EV)も走行しているかもしれませんが、それほど目立った印象はありませんでした。その理由を探ると、オーストラリアの都市部は海岸沿いに集中しており、内陸へと移動すると砂漠地帯が広がっているため、もし車が故障すると大変な状況になる可能性があります。そのような背景から、故障の少ない信頼性の高い日本車が好まれているようです。これは、自動車の燃料タイプだけでなく、各国の地形や環境によって自動車の需要が異なるという重要な洞察を与えてくれます。この観点は自動車産業に限らず、他の産業においても適用し考察することができるでしょう。

エネルギー大国

オーストラリアはその豊富な資源で知られる資源大国であり、世界でも有数の石炭を産出する国です。さらに、再生可能エネルギーの比率を高めて世界のリーダーになろうと努力しています。この事実を客観的に見ると、資源が豊富であるが故に製造業があまり発展していないオーストラリアに対し、資源に乏しい日本は精密な製造業に注力しています。このような国の特性を踏まえると、製品を持っている製造業者にとって、輸出入が非常に有望なマッチングとなる可能性が高いと言えるでしょう。

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オーストラリアと仕事で繋がりたい

私はオーストラリアから何かを受注する機会を掴むことを目的として渡航しました。短い滞在期間の中で、私が行った業種別の考察をお伝えします。

広告業

シドニーでは、紙のチラシやフライヤーよりもデジタルサイネージが広く普及していて、街中の様々な場所に設置されています。また、SNSの利用が非常に活発で、多くの人々がさまざまなSNSグループに参加し、情報を交換しているようです。この傾向を踏まえると、将来的には日本の地方エリアにおいてもデジタルサイネージの普及が進むと予想されます。

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飲食業

シドニーには、飲食店が必要とする材料を供給する大規模な輸入卸売業者が存在し、日本からの輸出品を扱うとともに、オーストラリアで飲食店を営む事業者の仕入れの中心となっている企業があります。これにより、飲食店は現地で容易に調味料や必要な材料を調達することが可能です。このような状況では、個々の生産者が単独で取り組むよりも、業界団体や協会といった規模の大きな組織が、この輸入卸売業者と連携して展開する方が現実的かもしれません。一方で、大量生産が難しい希少価値のある商品については、このような流通業者に頼らず、別の販路を見つけることが重要になるでしょう。

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観光業

オーストラリアでは日本への観光が人気ですが、有名な観光地の情報は豊富にある一方で、まだあまり知られていない魅力的な情報を提供することで興味を引くことができるでしょう。例えば、川の少ないオーストラリアから見ると、長野県の千曲川でのカヤック体験は新鮮なアクティビティとして受け入れられる可能性があります。また、日本の食文化を一通り学べるお弁当作りワークショップも特に女性に人気があるようです。こうしたユニークなアイディアによって、日本への観光誘致のチャンスを拡大できる見込みがあります。

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製造業

オーストラリアは資源大国であるため製造業が少なく、この状況は日本の完成品の輸出にとって有利な環境を提供しています。日本国内の競争相手が少ないため、オーストラリア市場におけるビジネスチャンスが多いと見込まれます。

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<<まとめ>>

「危機管理ファースト」か
「やってみてから考える」か

日本では、ゴミ箱の管理のような問題点や危機管理を事前に解決しなければ新しいアクションを取ることが難しいという状況があると感じています。しかし、「まずは行動し、問題が生じたらその都度解決する」というアプローチは、最終的に理想的な形に導くことができると考えられます。私たちの会社はローカルで小規模ですが、世界市場で競争し、成功を収めたいと願う企業や国であれば、このような「取り組み方」を見直すことで大きな改善が期待できるでしょう。

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その国の「あるからない」
「ないからある」を察知する

資源が豊富な国は物資を輸入する傾向にあり、逆に資源が不足している国は物を製造し輸出するというパターンが見られます。例えば、川が少ない国では川を活用したカヤック体験のような観光が人気を博すことがあります。これは当たり前のように思えるかもしれませんが、このようなマッチングこそがビジネスチャンスにつながります。そのため、何が存在し、何が不足しているのかを常に観察することは、ビジネスの機会を捉えるための重要な意識となります。

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国の歴史や環境を知る

国の成り立ちや歴史について知ることは、その国の人々の関係性や産業の背景を理解するのに役立ちます。国土の地理的特性、気候風土、文化などの知識も同じく重要です。例えば、オーストラリアの歴史を学ぶことで、先住民の経験や、それが現代にどのように影響を与えているのかを理解することができます。このような知識は、現地でのビジネスを行う際に必要な深い思考を育むのに役立ちます。

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どんな国でも人との繋がり

今回のオーストラリアで得た情報はもちろん大切ですが、一番はSNS広告でつながった人や現地で知り合った人の繋がりです。
焦らずにこの繋がりを深め、また広げることでチャンスは自然と近づいてくるはずです。
つまりどんな国でも人との繋がりをつくることが重要ということです。

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次にやってみたいこと

次回オーストラリアを訪れる際は、よりBtoB(ビジネス対ビジネス)指向のアプローチを取りたいと考えています。そのためには、地元で多様な業種の経営者を集め、オーストラリアの様々な企業とのプレゼンテーションや交流の機会を提供できる企画を立てたいと思います。このような取り組みに共感してくださる方がいれば、是非一度お食事をしながら意見を交わし、話し合いたいと思います。

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