株式会社間島宣伝事務所

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shimazaki

「ブランドの守り方」

みなさんこんにちは。横浜出身研修生の「シウマイ」です。

今回もマーケティングの上で重要な「ブランド」のお話です。

前回は「ブランドのつくり方」についてでしたが、
今回は「ブランドの守り方」です。

ブランドの創造について、前回は「新しいカテゴリーを生み出し、顧客を満足させることができれば、
そこに新しいブランドが生まれることにつながる」とお伝えしました。
また、そうした新しい市場で成長することでブランドが形成されていきます。
大きなブランドの形成にはそれだけ時間がかかり、また長い時間を生き抜くことでブランドはより強固になっていきます。

しかしながら、長らく顧客に愛好されてきたブランドも、競合に敗れてしまったり、顧客に見放されてその名声を失ってしまうことがあります。
ブランドの形成には成長が必要であり、そうして時間をかけて築き上げたブランドが失墜してしまうのは大きな損失でありとても悲しいことです。

では、様々に変化する時代の中、有名なブランドはどのようにして生き残ってきたのでしょう。

ブランドをブランドたらしめているのは「専門性」と「信頼感」です。
この2つが失われたとき、ブランドは失われてしまいます。

近年ブランドが失われた例として、「いきなりステーキ」があります。

ブランドの守り方

いきなりステーキが現れる以前、「ステーキ」と言えば特別な日に誰かと一緒に食べるものでした。
ところが、いきなりステーキの登場によって「高級ステーキを手軽にひとりで食べる」という新たなカテゴリーが生まれ、急成長しました。
立ち食いという競合他社にはない運営形態から顧客回転率は非常に高く、リピーターが多かったのも大きな特徴でした。

いきなりステーキにはリピーターの確保施策として肉マイレージ制度があり、累積で食べたステーキの量に応じてゴールド会員、ダイヤモンド会員、そしプラチナ会員と認定され、特典を得ることができました。

当時の「高たんぱく食」ブームにも支えられ店舗数も爆発的に伸び、その地位を確実にしたかのように見えたいきなりステーキでしたが、しかしながら徐々にその勢いは失われてしまいます。

まず、大きな問題となったのは過剰出店です。全国500店舗を超え、近隣の店舗同士が顧客を取り合うようになってしまいました。
もちろん同時期には競合も登場し始めたのですが、もっとも競合したのは同じいきなりステーキの近隣店だったといわれています。

また、創業時には本物のステーキ肉しか使わないことが売りだったのですが、
限定メニューとして加工肉(霜降り加工肉)を提供することも行われました。
こうした味の変化にはリピーターも気づいた人が少なくなかったはずです。

そして極めつけは肉マイレージ制度がそれまでの累積グラム数によるランクアップから
半年間の来店回数に応じてランクが決まる新制度へと変更されたことです。

これによって一度ハードルをクリアしたらずっとランクアップされた状態がキープ
されていたものが、新制度ではランク降格が起きるようになりました。
また、いきなりステーキ愛を示す累積グラム数がなくなり、
リピーター層のモチベーションが大きく下がってしまいました。

これらが重なったことでそれまでいきなりステーキは自身のブランドであった「高級肉の専門性」と「リピーターを大事にする信頼感」
を失い、その価値を落としてしまうことになったのです。

ここから学べることとしては、市場が変わったとしても、ブランドは変えてはならないということです。
もちろん競合は現れるでしょう。しかしながら「〇〇」と言えば「〇〇」という専売特許はブランドを支える強力な概念です。
人は飽きっぽく、市場の移り変わりは激しいものであり、顧客の幅が広がることによって業務形態の変革を迫られることもあるでしょう。
ただし、ブランドはそうした中で消費者の脳内に一定の場所を築き上げています。
これらは一朝一夕に築かれるものではなく、ブランドを手放してしまうことほどもったいないことはありません。

ブランドは「裏切らず、常にスペシャリスト」でいることが重要です。
世界の有名なブランドは、これを見失わずに徹底しているからこそ、その地位を揺るぎないものにしており、今日も私たちの頭の中で「〇〇」といえば「〇〇」という概念として存在し続けることができるのです。